イキナリナカツガワ Vol.5『阿弥陀も銭で光る』
- 2019/07/29
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実践トコログイキナリナカツガワ
皆さんは普段、「趣味は何ですか?」という質問を受ける機会はありますか?
良く聞くフレーズではありますが、実生活でこの会話が飛び出すのは、
- 初対面の人とコミュニケーションを取る時
- 採用面接の時
くらいではないでしょうか?
親しき人であれば、いちいち質問しなくても、
普段の生活から趣味と言えるものの想像が付くでしょうし、
逆に、電車でたまたま隣の席に座った人に、
いきなり質問する事もないですよね。
何が言いたいのかと申しますと(笑)、
皆さん、趣味はお持ちですか~?
という事です!
私は、映画鑑賞やスポーツ観戦など、至ってノーマルな趣味もありますが、
密かに一番「自分らしい」と感じているのは、
『人間観察』です。
「人」ほど面白い鑑賞対象はありませんっ!
そんな日常の中、最近気になっている人が、、、今日はそんなお話しです。
週末、近所の公園で王(ワン)さん親子の姿を見るのを、
私は密かな楽しみにしている。
王さん親子が何者なのか、実のところ知らない。
分かっているのは、毎週末、二人でサッカーの練習をしている。
ということだけだ。
「王さん」という名前も、私が勝手につけた。
パパ王さんの指導はとても厳しい。
右へ左へ、サッカーボールを投げ、チビ王ちゃんを指導する。
そう「投げ」というところがポイントだ。
パパ王さんは、基本サッカーボールを蹴らない。
ドッチボールの如く、とっては投げ、とっては転がし、
ボールを自在に操っているのだ。
「蹴ればいいのに、、、。」
私はいつも不思議に思っていた。
しかし、この疑問には、程なく答えが出た。
ある日、遠くまで転がってしまったボールを拾いに行ったパパ王さん。
さすがにこの距離を投げるのは難しいと思ったのか、
ボールを下に置き、数歩下がって~、蹴ったー!!!!
ん?んん?んんん?
コロコロコロコロ。ボールはほんの1~2mくらいしか飛ばなかった。
ちょっと大振り過ぎたのかな~と、
勝手に言い訳を考えたのもつかの間、
再度パパ王さんが蹴ったーっ!!!
\(◎o◎)/!
コロコロ。
こ、これは、、、。 手で投げた方が飛ぶんじゃないか?
そう。パパ王さんは、サッカーが下手だったのだ。
なるほど。だからいつも手で投げていたのか。なるほど。なるほど。超納得。
毎週ほのぼのと見ていた王さん親子。
途端に、「子供の為に苦手なサッカーを頑張るパパ王さん」という、
ヒューマンな要素が加わった。
泣けるぜ、パパ王さん。がんばれ、パパ王さん。
王さん親子を心の中で応援する日々が続いたある時。
私はまた気付いてしまった。
王さんが、いつもゴージャスなユニフォーム姿であるということに。
毎週毎週、違うユニフォームを着ている。
しかも、どれもサッカーに詳しくない私でも知っている有名チームのものばかり。
マンチェスターなんとか、レアルなんとかetc…
しかし着ているのは、パパ王さんだけ。チビ王ちゃんは、いつもTシャツに短パン姿。
何故だ、、、。
何故、パパだけなんだ、、、。
この謎は解けぬまま、季節はどんどん移って行った。
そんなある日の夕方。
パパ王さんが珍しく一人でベンチに座っているところに出食わした。
スマホ片手になにやら熱心に話している。
「%&$#!“$%&&#”~=」
話しの内容は分からない、
だって(多分)中国語なんだもの。
けれど、語気の強さとパパ王さんの表情からは、
世界を股に掛けたビジネスの匂いがした。
「今が底だ、買え。買収だ!」
そんなセリフが頭をよぎる。
パパ王さん、もしや大きな取引をいくつもこなす、スーパービジネスマンなのでは!!!
そう考えると合点がいく。
毎週の様に変わるユニフォームは、出張先で購入したものに違いない。
ハッ。
もしや、チームそのものを買ったのかもしれない!!!
もはやパパ王さんの姿が、金色に輝いてさえ見える。
今この瞬間にも、どこかのサッカーチームを買おうしているのかもしれない!
サッカーボールを左右へ投げ、チビ王ちゃんを指導していたのも、
いずれ世界へ出ていく息子に、世間の厳しさを教えていたのかもしれない!
というか、きっとそうだ。それしかない!
凄いぜ、パパ王さん!世界相手に戦うパパ王さんの姿を思うと、興奮で身が震えた。
金色に輝くパパ王さんの背中を眺めつつ、
「チビ王ちゃん。いつかビジネスで儲けたら、自分でサッカーユニフォームを買うのだよ。」
そう勝手に心の中でエールを送る今日この頃なのでした。